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うっかり死なないようにするだけ。

夫(私)が鬱でアスペルガー。妻は躁鬱。でも何とかなってるような気がしなくもない日々。

LZ-A4という中華イヤホン② 音質レビュー

 まず前提として、LZ-A4には背面3種類、前面(ステム側)6種類のフィルターが付属し、組み合わせの結果、計18種類の音質をもつことになります。

私は今のところ付属のコンプライもどきで背面黒+前面青のフィルター(到着時点と同じ組み合わせ、以下標準)で聴いていて、レビューもまず標準が前提にあって……という書き方をしています。

 

ちなみに前記事はこちら

mohumohux.hateblo.jp

 

 

組み合わせによって再生周波数帯域も変わるため、説明書の記載を最初にアップします。

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This Game / 鈴木このみ

標準 背面黒・前面青 20 - 35,000Hz

個人的に(ヘッドホン・イヤホンで聞く場合に)サ行が刺さる率ナンバーワンの曲なのですが、驚いたことに全く刺さらない。刺さらず、滑らかに消え行く。この曲はベースラインが凄く面白いのですが、このベースがとても自然な音が聞こえているという印象。正直に言うと、ほとんどの再生装置は質の悪いアンプや妙なエフェクターを経由したような音が鳴ると思っているのだけれど、LZ-A4はそういった感覚が少なく、歪みがないとはこういう事かと納得させられる。もちろん意図的に歪まされている音はその通り聞こえるけれど、必要以上に歪んだようには聴こえない。ボーカルは埋もれがちなハモりの部分がしっかり分離して明確に聞こえてくる。ノリが良く華やか。

 

比較 背面赤前面青

10-35000Hzと、最も広い再生周波数帯域の組み合わせ。

ボーカルのサ行は変わらず刺さらない音で、低域はより深いところで鳴るようになった。その分、やや中高域が奥に引っ込んだ感があり、これにより解像度が若干下がった印象も受ける。しかしベースは躍動感を増しているし、これはこれで十分ありだ。

しかし、「何故最も広い再生周波数帯域を誇る組み合わせが到着時点(標準)の組み合わせでないのか」と私は思っていたのだけれど、標準の背面黒・前面青に比べるとどうしても凡庸というか、他の同価格帯イヤホンでも良いんじゃない?と思える仕上がりにも感じた。標準の組み合わせに比べるとやや曇っているというか、雄大な音場で鳴る自然な音という印象が薄れる。

ただ、フィルターを変えるだけで20000円超えの他のイヤホンのような音も手に入っているのだから、高評価すべきだと思う。

もちろん、この音が一番好みという人も多くいると思う。

 

比較 背面黒・前面赤 20 - 15,000Hz

説明書によると、この組み合わせは再生周波数帯域が20-15000Hzと、それほど広くない。むしろ狭いと言ってもいいと思う。私自身の耳が加齢による衰えで17000から18000Hz辺りを上限に上が聞こえないのだけれど、それよりも狭い。

一方で、ネット上で評価の高い意見が見られたため、標準の次に期待していた組み合わせでもある。

高域は更に刺激が無くなって、マイルド。中低音は厚みを増して、標準の組み合わせに比べるとスモーキー。明瞭感や鮮烈な印象はなくなるが全体のバランスが良く、ボーカルも一つの楽器であることを思い知らせてくれる絶妙な塩梅。標準よりも大人な音といった印象。ボリュームを少し上げても良い。

とにかく刺激が少なくて、聴き疲れとは無縁のようにも感じる。長く聴き続けるならこれが良い。

 

比較 背面黒・前面 20 - 24,000Hz

全体的にモヤがかかった印象で、標準に比べて著しく見晴らしが悪くなり音場もギュッと縮まる。

 

Rising Hope / LiSA

標準 背面黒・前面青 20 - 35,000Hz

シンセサイザー、ギター、ドラム、ベース、どれもが分離感高くそれでいて調和して存在している。その土台の上に強めのボーカルが乗ってきて、作り手はこういう音を狙っていたのではないかと勝手に想像してしまう。3:45~のロングトーン2連発は鮮やかに伸び、しかしBA型にありがちの神経質な印象は受けない。

 

比較 背面黒・前面赤 20 - 15,000Hz

標準に比べるとRisingHopeのように明るくノリが良い曲との相性で劣るかもしれない。

しかし、標準はボーカルが近く感じたけれど、これはこれで全ての帯域が整列したようにバランスを取っている印象があり、決して悪くない。

華やかさが無くなったように感じるけれど、だからといって解像に劣るわけではない。標準に比べて明瞭でない分わかりやすい解像感ではないけれど、よく聴けばしっかり鳴っていても過度に主張していないだけだとわかる。

ボーカル帯域において伸びやかさが無くなるということはなく、より刺激の少ないマイルドな質になっている。角が取れた分、ボーカルが上手くこえるのはこちらの組み合わせかもしれない。

一方でシンバルの刺激的な響きまでマイルドになってしまうことには若干の寂しさが残る。

高域の刺激を好意的に受け取るか不快と感じるかで評価が割れそう。

 

比較 背面なし・前面赤 不明

変化を求めて、いっそ背面を外してみました。

音が破綻するかと思いきや、予想を裏切る高音質。ベースラインやバスドラムの響きが心地よい。ボーカルは遠ざかるけれど、決して遠すぎない。説明書には存在しない「つけない」という選択肢だけれど、全然あり。

 

比較 背面赤前面緑 40 - 20,000Hz

スピーカーを自作したりしている身としては、経験上、下は40Hzからでも十分に音楽は成り立つと感じています。もちろん、出るには出た方が良いのだけれど、数字以上に大事なことはあります。

前面のフィルターがグリーン、グレー、ピンクの場合は低域の再生周波数帯域も変わるようで、背面を赤にしないと低域が不足しそうだと思い背面は赤を選びました。

この背面赤・前面緑の組み合わせは決して悪くないのだけれど、標準に比べると見晴らしが悪く華やかさも無い。では背面黒・前面赤のようにバランスが良くマイルドかというとそういうわけでもない。どっちつかずな印象。

 

時代おくれ / 玉置浩二

標準 背面黒・前面青 20 - 35,000Hz

河島英五の同名曲を、玉置浩二がカバーした曲。情感の込められたボーカルを上手く鳴らしていて、口元や舌の動きまでもが解るような感覚を覚える。この曲に関してはそれが全てかもしれない。低めのボーカルを全く苦手にせず、明るめの曲が合うかと思っていたけれど、どうやらしっとり聴かせることも得意なよう。

 

比較 背面黒・前面赤 20 - 15,000Hz

この曲の歌詞に『目立たぬように はしゃがぬように 似合わぬことは無理をせず』というフレーズがあるけれど、正にそういう印象。この組み合わせを聞いた後だと、標準の組み合わせはやや「はしゃいだ印象」がある。

口元の動きがわかるような解像感はそのままに、よりしっとりと歌い上げているように感じた。

 

イエス / Acid Black Cherry

標準 背面黒・前面青 20 - 35,000Hz

私はJanne Da Arcの大ファンだけれどAcid Black Cherryはファンというほどではないという微妙な立ち位置。最大の差は音作りにあり、Acid Black Cherryのオリジナル曲のほとんどは音圧が強すぎて耳に痛い。ボリュームを下げてしまう。

ここまで聴いてLZ-A4は(標準組み合わせでも)音圧をかなり和らげてくれている印象があったため、あえてAcid Black Cherryの曲を選択してみた。結果的に、今のメイン機(主にSE535、UEs)に比べて音圧は幾らか和らいでいる印象。でも音圧の強い曲が完全に違う曲になるわけではなくて、強いものはやっぱり強い。ただ、ボーカルyasuのやや神経質な面もある高域が耳に刺さることはなくなり、聴きやすい印象。ミドルボイスも魅力的に感じる。

 

比較 背面黒・前面赤 20 - 15,000Hz

より音圧が下がる傾向にあると思える組み合わせ。比較にこれが続いているのは、それだけ気に入っている証拠。

標準の組み合わせではまだ聴き辛さの残る印象だったけれど、驚くことにこの組み合わせでは聴き辛さがほとんど解消されている。

センチメントなギターが素直に耳へ届き、ベースやドラムが土台を作り上げ、その中でボーカルが歌っている。今までは我先にと言わんばかりに主張していたそれぞれの音が、一歩引いてそれぞれを活かしあっているような印象へと変わった。

 

比較 背面赤前面グレー 40 - 16,000Hz

低域寄りになり、音が重なる感じがある。低音が好物な私でも、ベースが前に出すぎていて聴きづらい。

ゴリゴリに締まった低音ではなく、ボンボンと前で鳴る印象。

 

ダイヤモンドヴァージン / Janne Da Arc

標準 背面黒・前面青 20 - 35,000Hz

折角だからJanne Da Arc。個人的名曲。

ボーカルは同じyasuの声でも、やはりAcid Black Cherryの曲に比べて圧倒的に聴きやすく耳にすんなり入ってくる。

比べるとボーカルがやや遠く、ベースラインが強めに出ている。これぐらいの感覚の方がLZ-A4には合っているようで、一切の破綻なく再生しきっている。

この曲は疾走曲だけれど哀愁があり、とてもドラマチック。曲名とサビの歌詞だけを見て逃げ出すのは良くない。2:43辺りからのメロディアスなフレーズを聴くと、むしろLZ-A4の良さはこういった疾走と哀愁のように、落差の激しい曲に向いていると思われる。激しく行って、突然夕暮れのような情緒的メロディーを奏でる。そういった落差を、変化を表現することに非常に長けている。

 

比較 背面黒・前面赤 20 - 15,000Hz

先に書いてあるとおり、Acid Black Cherryの曲に比べるとボーカルはやや遠い。標準ではこれが丁度良く感じたのだけれど、この組み合わせだとボーカルがもうちょっと近くても良いかなと思えてくる。

その分、楽器隊はより聴きやすく、特にドラムは存在感を増して、はしゃがない範囲で曲を下支えし彩っている。

 

神さま達 / 千と千尋の神隠し より

標準 背面黒・前面青 20 - 35,000Hz

サントラ。細かい音をしっかり拾い、イヤホンとしては私は過去に経験したことがないほど広大な音場で鳴っている。開放型のヘッドホンより広いかもしれない。前後はそれほどでもないかもしれないが、上下はかなりあり、左右に至っては終着点が見えないほどに広い。

分離、解像感の高さが素晴らしく、全ての音が一切重ならず、一つ一つの楽器が一つの曲を作り上げているということを再認識させられた。

 

比較 背面黒・前面赤 20 - 15,000Hz

標準のやや華やかな音に比べると圧倒的にしとやかで上品。華やかさに欠けるとも表現できるが、中低域の響きが壮大で、高域は一切刺さらない。音場は適度に壁が生まれ、広大ながら終着点が見えないというような鳴り方ではない。分離や解像が劣るということもなく、むしろ上がっているような印象さえある。

 

総評

BA(バランスドアーマチュア)型の中高域は神経質な音を鳴らす印象があって、良くも悪くも私はそれが好きでした。

でした、というのはつまり、このLZ-A4を聴いて神経質じゃないBAは素晴らしいということを知ってしまった今、もう神経質な音に戻る気にはなれない、ということ。

結局のところLZ-A4は『物凄くレベルの高い普通のイヤホン』なんだと思います。

中を開けたらBAじゃなかったということでなかればいいけれど、仮に中身がダイナミックドライバー一発だったとしてもこの音が鳴るのなら凄い。勿論、購入物の内容が違っていたら精神的には嫌だけれど。

良い意味で本当にBA型なのか疑いたくなってしまう理由は他にもあって、とにかく下から上まで音の繋がりが素晴らしく良い。手持ちで言うなれば、低価格中華イヤホンのUEsが完全に、見事なまでに繋がっていないように(それでも聴かせるからUEsは凄いのですが)、BAとDDのハイブリッド機種は音の繋がりに難があるものが多いそうですが、そんな話と裏腹にLZ-A4は完璧と思える繋がり。少なくとも私にはわからない。

しかし、一部で言われている「聴き疲れのなさ」に関しては、標準の組み合わせの場合には、言われているほどじゃないなと。私の音楽を聴く時間が長すぎるのかもしれませんし(昔は8時間ぐらい聴いていました。今も仕事が在宅なので、仕事中はずっと聴いてます。)、聴くジャンルが基本耳に痛い(アニソン、ロック、メタル)ということもあると思いますが、やはり耳は疲れます。

そして、これは良い点でもあるのですが、標準の組み合わせで聴くLZ-A4は音場が広い割にボーカルが近く、中域が凹むことなくしっかり主張します。高域と低域が音圧から解放されたようにのびのび鳴るのに対して、中域はそれなりの音圧がありやや賑やかな印象です。

聴き疲れのなさを求める場合は、背面黒・前面赤の組み合わせの方が求める物に近付くと思います。これも標準に負けず劣らずというか、もう完全に好みの問題なのですが、標準の一聴して高音質とわかるノリが良く華やかな音に対して、背面黒・前面赤は聴けば聴くほど耳に馴染みます。若々しい標準に対して、大人の背面黒・前面赤。

私はある程度ボーカルが近くて若干華やかな音の方が好みなので、結局標準を使用していますが、気分によって使い分けようかと思います。午前と午後で、もしくは取り組んでいる作業次第で、変えるかもしれません。先に強調してまで『物凄くレベルの高い普通のイヤホン』と書いてしまいましたけれど、そんな使い方ができるのは『普通じゃない』ですね。

LZ-A4の音は弱点がないように感じます。好みでさえもフィルターの組み合わせで合せられてしまうし、そもそもの性能から言ってこれが苦手というものが、今のところ見当たりません。上に書いていない中ではビルエバンス(Jazz)も凄く上手く、空気感をもって鳴らします。

 

SE535との比較。

モニター調という言葉を正しく使えるか解りませんが、勝手にモニター調だと思っているSE535に比べても、素直で自然な音と感じます。歪みは少なく、音が神経質でなく、刺さりがなく、マイルド。でも作られた感は一切なく、比べるとSE535の方がドライすぎるんじゃないかと思えるぐらい。LZ-A4はキラキラでもドライでもなく、サラッとした感じ。音場はLZ-A4の圧勝で、解像感は同じぐらいかもしれないけれど、空間表現の巧みさの分、LZ-A4の方がわかりやすく好ましい。分離はLZ-A4の勝ち。

 

つけ心地

耳からぴょこっと飛び出す感じになりますが、そのお陰でShure掛けはしてもしなくてもどちらでも良く、つけ心地的に一番似ているのは10proだと感じました。寝ホンには適さないけれど、普通に使う分には以外と楽。

 

ケーブル

ケーブルは細く、少し頼りない印象。しかし非常にしなやかで、タッチノイズも少ない。個人的にはもう少し長い方が好みだったけれど、通勤通学などポータブルで使用する分にはこれぐらいが丁度良いのかもしれない。

 

SE535のケーブルに変えてみた

純正ケーブルとの相性が良くてリケーブルはしない方が良いと言うことなので、してみました(ひねくれ者)。

一聴して低域の量が増えて中域が遠ざかりました。音像がややぼやけるかな。これはこれで好きだけれど、確かに純正ケーブルの方が好ましいというか、組み合わせた結果の完成度が高いように思う。ただ、SE535のケーブルで別の組み合わせを聴けばまた違う印象になるかもしれないから、このイヤホンは底なし沼とも言える。

ただ、これほど違うとなると純正ケーブルの断線が怖い。少なくともSE535のケーブルより耐久性は劣るだろうから、気をつけて使わないと後悔しそう。

 

 

とりあえず以上です。

また面白い組み合わせがあったらネタにするかもしれませんが、しばらくは純正ケーブルのまま標準と背面黒・前面赤のどちらかで楽しむと思います。