mohumohux

病気や子育てについて書くつもりが、趣味の話が増えてしまった雑多ブログ。

ドリブルの上手い天才少年達はどこへ行くのか

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今、小学校二年生の息子が地元のサッカーチームに入っています。

始めてからまだ二、三ヶ月の時点で、親子練習の甲斐もあって「ボールの扱い」はチームの中央値付近まで来ているのですが、発達障害の関係もあるのか精神的に未熟でガンガン前に行けるタイプでもないため、「メンタル面」をトータルするとまだまだ一番下です。

まともなサッカー経験自体がチームで一番少ないので、よく頑張っている方だと思いますが。

 

さて、そんな息子が初めて大会に出てきました。

※ここからの文章は、単なる個人的な感想なので、あまり真に受けすぎないようにお願い致します。

各チームを見渡すと、何人かの天才的に上手い子が確認できました。一人で三人四人抜くのは当たり前。というかゴール前でボール貰って一人でドリブルしてゴール奪ってくるので、6人制サッカーで6人抜きをできてしまう。まさに無双です。

練習試合や、違うチームの練習を見に行ったり、子供に別のチームへ体験参加させたりしているうちに沢山こういった天才ドリブラーを見ることになりましたが、このタイプの子供達は、判を捺したように似たプレースタイルです。

 

天才的な小学生ドリブラーの共通点。

 

  • 足が地に着かないほど軽やかにステップが踏めるため方向転換が速い。
  • リフティングが上手い。
  • ボールの芯を捉えるキックが上手い。
  • ルーレットが使える。
  • 切り返し、反転が上手い。
  • ボールを止めない。
  • 初速が早い。
  • ズレを作った後、縦に早い突破を仕掛けられる。
  • (プレースタイルではないが)フィジカルでゴリ押しできる体格ではない。
  • (これもプレースタイルではないけれど)チームの規模に関わらず、その人数はチーム当たり0~2人。

 

大体の子が、このほとんどに当てはまります。

たった三ヶ月程度で両手で数えなければいけないほど、こういう選手を見ることになりました。

テレビやらネットでも機会があれば息子と同じぐらいの年代の試合を見るようになりましたが、そこでも同じような子供が映されています。

希に、判断力や視野の広さも異常に発達した本物の天才らしき子供も見かけますが。

最初はこういう子供達は一体将来どんな選手になるんだろうと、我が子そっちのけで見入っていたのですが、そうしているうちに幾つかの疑問が生まれました。

 

あまりにも数が多く、プレースタイルが似通りすぎている。

実践で役立つドリブルの種類はそれほど多くありません。しかし子供によってスタイルは面白いように違います。

ある程度引き寄せてから急加速、一発で抜くことが得意な子もいますし。

体格を活かして強引に突き進む子もいます。

しかしこういうタイプでは、何人も連続で抜くことは難しいです。

0から100に急加速することが得意な子供は、100を100にもう一度繋げることは苦手です。100の力を出せば次は力も精度も絶対に落ちます。

年齢以上に大きな体格(身長ではなく肉付き的に)で突き進む子は、どうしてもそこに頼るために足元が苦手な傾向があり、集団を引き剥がせません。

しかし前者であれば一人を大きく剥がすのは得意ですし、後者であればスクリーンやそれを活かしたキープは得意です。

こういう特徴は一人が二つを併せ持つことがほとんどありません。というか今のところ見たことがありません。一長一短、という感じになります。

ただ、小学生時点で天才的にドリブルが上手い子というのは、とにかく軽やかで細かいタッチを継ぎ目なく繰り返すことができる選手です。

力の出し具合としては60~80%を連続する感じでしょうか。

この適度に力の抜けた感じが更に上手さを際立たせます。

もちろんそれは何も悪いことではなく素晴らしい長所なのですが、それでもあえて物凄く悪い書き方をしますと、量産型の天才的ドリブラーのようにも見えます。

(このプレースタイルなら全員が無双できるほど上手いというわけではないです。このスタイルの中の特に上手い子が、になります)

 

得意なプレーはドリブル。その裏側を見たい。

日本から欧州等へサッカー留学していく子供に「得意なプレーは?」と聞けば、90%ぐらいの子供が「ドリブル」と答え、しかし「そのほとんど全てが通用しない」という話も聞きます。

球際の激しさと守備戦術が日本とは段違いだからだそうです。

そういうレベルよりは遙かに下の話になりますが、それでも確かに、地元の大会を見ているだけでも、多少汚かろうが怪我に繋がろうがガンガン行くタイプの子供はそれほど見たことがありませんし、守備戦術なんてほとんどありません。

感嘆するしかないような小さな天才的ドリブラーのプレーを見る回数が多い一方で、感心するほど上手いと思う守備を目にする機会はそうありません。

無闇に突っ込む、という子供はめちゃくちゃ多いですが。

 

彼らのドリブルは一種のパフォーマーのようになっているのかもしれない、と思うことがあります。

確かに華麗な個人技で周囲の親御さん達を大いに湧かせるのですが、その裏には守備意識や守備における技術の欠如が隠れています。

その上、何度も何度も抜かれているうちに、諦め癖のようなものが付いているようにも見えます。同レベルの子には張り切って守備をするけれど、物凄く上手い子が相手だと急に無気力になる子が多いです。

そこで息子や息子の友達に直接聞いてみたり、会話が聞こえる位置で練習を観察していると、想像通りの言葉が口に出ていました。

 

「相手の子が上手いから、(抜かれても)仕方ない」

この年代のサッカーは、大抵どのチームに置いてもそうだと思いますが、極端に攻撃重視で守備についてはそこまで教わることはありません。

まずボールを扱う技術、というところから入るので。

子供も攻撃したがるしね。

子供の守備って面白いことに、あまり横や後ろからは行かないんですよね。基本は正面に立って、真っ向勝負。

数的有利でも、横に並ぶか、真っ向勝負の順番待ちをする。

抜かれたら、そこで終了。

追わない。

まるで野球のように、投手と打者の一対一の勝負で、アウトになれば打席は必ず次に回るかのように…。

 

サッカーにはそんなルールないのですが。 

 

加えて、

 

囲まない。

身体をぶつけない。

進行方向を塞がない。

追い込む守備ができない。

突っ込みすぎて、下がらない。(ドリブルの時は下がってかわすのに)

 

だから今見ている天才的ドリブラー達が、じゃあ囲まれてどうするか、角度のない方へ追い込まれてからどうするか、ディレイにどう対応するのか、という場面を中々見ることができないんです。

もちろん、全国的にも名のあるチームぐらいになれば、そこは結構しっかりやってきますけれど。そういうチームと対戦する機会なんてそうありません。

とんでもなく上手いパスが飛び出すかもしれないし、それでも強引に突破してしまうのかもしれないし、打つ手なしになるかもしれない。

個人的にそういう子がどういうプレーを選択するのか見てみたいという気持ちもありますが、しかしそれ以上に、緩い守備を相手にドリブルが武器だと思い込んでドリブルを磨いた結果、周りの子が守備ができはじめると急に通用しなくなってしまう、というようなことがあってはこのドリブラー達にとっては悲劇でしかありません。

 

実際、手が付けられないほど上手かったドリブラーが、中学生になる前から中学時代辺りで辞めていくことは良くあるらしいです。その中には、守備で潰されるようになると面白くないから辞める、という子も、決して珍しくないとか。

 

ドリブルorパス議論。でもディフェンスは?

この年代について「ドリブル重視かパス重視か」という議論はよくありますし、どちらの意見も多く語られています。

そしてチームは独自色を出すためかどちらかを重視する傾向があり、そのチームのスタイルによって守備の仕方も二つに分かれます。

 

ドリブル重視であれば団子サッカーになるので、守備はボールホルダーの正面に固まる状況になります。

パスサッカーであればフォーメーションを重視するので、一対一の状況を多く作り出します。

 

しかしどちらであっても、ドリブルが上手い子にとっては、突破しやすい守備です。

守備の仕方、フォーメーションとかはまだ早いかもしれないけれど、一人で勝てない相手からどうやってボールを奪うか、というところはもっと早くから教えても良いんじゃないかと思います。

親子練習や個人練習でそれを身に付けることは難しいですし。

 

戦術と言ってしまうと「子供にはまだ早い」とか「自由にやらせるべきだ」という意見が多いと思いますが、しかし早いうちから勝つためのセオリーや数的有利を覚えるのは、そう悪くないとも思うのです。

というか、正直に言ってしまえば、ドリブルに関しては徹底的に叩き込んでも良いのに、何故それ以外のことになると急に賛否が分かれるのかよく分かりません。

相手のあるスポーツは対策が重要ですから、色んな有効手段を教えておいて、その上でどうするかは子供達で決める、でも構わないんじゃないかなーとか。

ドリブルはボールタッチの基礎だから、という意見もよくありますが、でもサッカーってボールに触れてない時間の方が圧倒的に多いんだから、そっちも早いうちから基礎をやっても良いんじゃないかな、とか。

 

勝敗を分けるのは天才的ドリブラーの数

小学生年代のサッカーはハッキリ言って、この天才的ドリブラーがチームに何人いるかでほとんど勝敗が決まります。特にドリブル重視のチームや低学年はこれです。

(レベルが上がるにつれて傾向は薄まります)

 

例えば同じチームであっても、三年生は天才的ドリブラーが二人いて10点取って勝ったけど、四年生はそういう子が一人もいなくて大会通じて0点で終わったとか。

 

ちなみに息子のチームにはそれほどの選手がいないため、計6試合で3得点、1勝5敗という結果に終わりました。相手が強いとお通夜みたいな雰囲気でサッカーしているし、試合が終わったら悔しいとかじゃなくて鬼ごっこして遊び始める感じです。

 

そのサッカーは、やっていて楽しいのかな……?