KZ ES4をレビュー。U3000の盟主になれるか?
プレセールで購入したKZ ES4が届いたのでレビューします。
結論から書くと、国内価格を考えても中々の音を出していて、ボーカルが非常に近く魅力的なイヤホンでした。
最大の魅力はグラフェンDD
KZと言えば自社開発のBAを積み込んで圧倒的スペックの低価格製品を作り出す印象ですが、このES4に限って言えば《新開発の"グラフェン"ダイナミックドライバ》が最大の魅力です。
にも関わらず、上記画像には書かれていませんが…。
実際に聞いてみると、箱出し時点で既にグラフェンドライバが活かされています。濃い中低域が全体を支え、特にボーカルは非常に近く魅力的です。
低域はダイナミックらしさがあり良く沈み、中域にはグラフェンらしいエッジも感じます。
ZS10と同じくネットワークを積んで調整した結果だと思うのですが、高域に関しては刺激が少ないマイルドな音に仕上がっています。刺さりとは無縁の音で、過去のKZ製品とは正反対の傾向なので注意が必要です。
廉価版ZS10?
ネットワークを詰み高域を抑えていることでZS10の廉価版というような捉え方も出来ますが、両者のサウンド傾向は異なります。ZS10はボーカルが遠く分解能が高い音だったのですが、ES4はボーカルが非常に近く分解能はそこそこに留まっています。
ES3の後継機?
型番的には後継機と言うことになるのでしょうが、音に関しては全く方向性が違います。ES3は中域の薄い非常に派手なドンシャリでしたが、ES4は中域重視で高域落ち気味の傾向です。
また音の濃さも大きく異なり、ES3は薄くクリア、ES4は濃く高密度です。
ZSRに近いかも
私の個人的な印象としては、KZ ZSRが最も近い音に感じました。
ケーブルがゴムゴムじゃない
これは非常に大きな改善です。KZのゴムゴムケーブルは音以前に非常に取り回しが悪かったため、ようやくまともに使えるケーブルになったと言えるでしょう。
これまではゴムゴム回避のためにもアップグレードケーブルが必要だと感じていましたが、今の品質ならばアップグレードせずにいても良いと思えますし、いっそ音質を求めて8芯などのケーブルへステップアップしても面白いかもしれません。
まとめ
これまでの格安ハイブリッド機にありがちだった「BAとDDの繋がりが悪い」というようなことがなく、まるでDD一発のように滑らかに繋がったサウンドです。強いて言うならばBAの存在感が良くも悪くも薄く、ボーカルは少し近すぎるかもしれません。
Amazonでは2018/5/31現在で3,289円ですが、キャンペーンで600円値引きされます。
またKZ製品はよくセールで値引きされるため、高い時期でなければ3000円を切る価格で購入することが可能なイヤホンと言えるでしょう。
その価格帯でこの完成度ならばコストパフォーマンスは確実に優れると感じます。
しかしKZ ZSTが更に安い価格である事を考えると少々難しい立場となるかもしれません。音のまとまりではES4に軍配が上がると思いますが、ZSTの荒削りながら派手で元気な音も魅力的です。
悩ましい選択肢が増えた、と言ったところでしょうか。
それにしてもKZの快進撃はどこまで続くのか。物凄い勢いで新製品をリリースしていますが、まだフラッグシップと呼べるものがないように思えるので、それを作れるかが肝になりそうですね。