【ZS10レビュー】KZとは思えない上品で大人しい音
ようやくZS10が届いたのでレビューします。
まず最初に……赤格好いい!(・∀・)
スペック
パッケージ裏面の表記です。
少し注意しなければならないのは、
- 2pinが0.75mmタイプ
- インピーダンスが32Ω
この二点で、前者はケーブル選びの際に要注意です。ZS10にはまともなケーブルが標準で付いてくるので、わざわざ安いアップグレードケーブルに手を出す必要はそれほどないと思われます。しかしより上位価格帯のケーブルに切り替える場合にはこの点に気をつけましょう。
また、インピーダンスが過去のKZ製品と比べると高めに設定されている点も重要です。
並べてみると
- ES3 18Ω
- ZSR 22Ω
- ZST(PRO) 10Ω
- ZS5 16Ω
- ZS6 15Ω
- ZS10 32Ω
と、最も鳴らしやすいZSTに比べると3倍を超えます。
それほど注意が必要な数値とまでは言えないものの、普通のスマホに直差しする場合はもしかしたら鳴らしにくいケースが出てくるかもしれません。
赤が格好いい
個人的には赤購入で正解でした。
赤が最後に生産されたのか、随分と待たされてしまいましたが…。それを差し引いてもこの美しさは「あり」です。
厚みはそれなり。でもやっぱりデカい。
ZST(前回の記事で書いたティッシュ詰め込み改造済み)との比較。
厚みは案外大したことなく、耳からもそれほど飛び出しません。LZ-A4使いとしては全く難がないどころか良好な安定感です。
しかし縦横はやはりデカい…。私は幸運にも全く気にならないというか、むしろこれぐらいのほうが安定するとも言えるぐらいピッタリ収まってくれましたが。
普通に考えれば問題になり得る大きさです。
音質レビュー
まず前提として現在ZS10は2タイプの存在が確認されています。DD穴が勾玉型か多孔型かの違いで、私の元へ届いたZS10赤は勾玉型でした。プレセールで既に2モデルは正に中華ガチャです。
なお今回からアンプはMOJOになりました。
過去のKZ製品と比べると、これは本当にKZが作ったのかと疑いたくなるぐらいに上品で柔らかい音です。
特徴を並べてみる
- 刺さりとは縁遠い
- 高域は主張せずに静か
- 聴き疲れはかなり少ない
- 中域の表現力は秀逸
- ボーカルやピアノには適度な厚みと太さがある。
- 低域の締まりもレベルが高い
- 高域に限れば解像感はそれなりで、KZの「わかりやすい高音質」とは真逆かも
総評
まず高域が抑えられていることで音の刺さりがほとんどありません。しかし鳴っていないということはなく、これまでにあった倍音成分の一部が妙に強調されてしまったような音とは異なるという程度です。非常に丁寧に、もしくはリアリティを感じるよりは幾らか速いペースで減衰していきます。
これが難しいところで、高域の解像感はティッシュ詰めたZST PROより劣る程度に収まります。ZST PROは1BA1DDで定価2200円程度、ZS10は4BA1DDで定価三倍の6600円(どちらもAmazon)なので、「高くて沢山ドライバを積んだZS10のほうが解像感が高くないなんておかしい! ZS10はダメだ!」という評判を招くことにもなりかねません。
なのでKZがこの方向に舵を切って音を調整してきたことには正直驚きました。
私は以前から「オーディオは解像感を求めて神経質な音になりすぎている」と書いていますが、ZST PROは正にこの"傾向"がある音です。線が細く鋭く、解像しなくて良いところまで解像してしまう。音を適度に隠す、混ぜる、といったことを許さない。
解りやすく高音質で高解像なのはカリッカリに研いだ音ですが、個人的には好きじゃないし、リアリティ(リアルではない)に欠けると感じます。
ZS10は「解りづらい高音質」と言えるかもしれませんし、カリッカリの音が好きな人は好まないと思います。
これから購入するという方は自分の求める音を把握してから買ったほうが良いかもしれません。
個人的には
非常に押し付けがましくない音で、ボーカル入りの日本語曲を聴きながら執筆作業ができてしまう類い希なイヤホンです。
思わず聴いているのを忘れてしまうという感じで聴き疲れもないので、作業用BGMに最適です。
一方で、一曲を細部まで分析的に聴き込むという場面では物足りない面もあります。「こんな音が入っていたのか!」という感動は少ないほうかと。
しかし表現力は非常に豊かなので、何度も聴いてどんどん曲の深みに嵌っていくような、そういう系統の音と言えます。
試してみる場合には個人輸入かセールを狙ったほうが良いかもしれません。耳と感性に合えばAmazon定価も納得のコストパフォーマンスですが、合わない場合に6600円は安くない出費になってしまうでしょう。